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コスト・リソースを最小限におさえながら、AR音声ガイド「おとある」を商品化。初となるイベント領域への展開で、見事成功を収める/株式会社松本コロタイプ光芸社様

コスト・リソースを最小限におさえながら、AR音声ガイド「おとある」を商品化。初となるイベント領域への展開で、見事成功を収める/株式会社松本コロタイプ光芸社様

記事公開日: 2023/02/01

最終更新日:2023/02/08

クラウドサーカス株式会社が提供する、印刷会社・広告制作会社のデジタル提案支援する「Cloud CIRCUS for Creative」を導入したお客様の事例をご紹介。 お話を伺ったのは、企画デジタルコンテンツ部のご担当者様。
メイン事業である卒業アルバムの印刷・制作を伸ばしつつも、近年展開されている新事業からも売上を立てたいと考えていた中で、CloudCIRCUSForCreativeを導入されました。ツールを活用して企画したイベントは盛況を納め、印刷会社としての新しい可能性を広げています。今回はご担当者様に、その運用法や成果について伺いました。

株式会社松本コロタイプ光芸社

https://www.matsucollo.com/

事業内容 もともとは卒業アルバム専門印刷所として創業し、現在もアルバム制作をメイン事業としながらも、近年では写真集やポスター・カレンダーやパンフレット・学校案内などの一般印刷、デザイン、同人誌印刷、自費出版など幅広く行っています。
近年では、少子化などの時代背景を踏まえて、御朱印帳・御城印帳の企画・製作から観光に携わる新規事業も展開しています。

株式会社松本コロタイプ光芸社様の商流

アルバム制作部門と、企画デジタルコンテンツ部門の2つをメインとして事業展開しています。アルバム制作部門で扱うのは、主にハードカバータイプの卒業アルバムで、写真館を通して学校からの受注・納品を行います。

企画デジタルコンテンツ部門では従来の同人誌印刷のほか、近年は新たな分野を開拓すべく、御朱印帳・御城印帳の製作にも取り組んでいます。同人誌印刷は個人向けのサービスで、お客様に自社Webサイトでユーザー登録・発注していただき、ダイレクトに納品する流れです。

御朱印帳・御城印帳の製作は、企画デジタルコンテンツ部門のメンバーが、企画・デザインから営業活動まで一貫して行っています。発注のパターンは2種類で、たとえば御城印帳の場合、観光業の方から直接発注をいただくケース、観光業界の方から自社Webサイトに直接問い合わせをいただき制作するケースがあります。出来上がった製品はお城の売店にダイレクトに納品するため、販売窓口で御城印帳を購入する来場者の方はエンドユーザーという認識です。

御朱印帳・御城印帳は、歴史的背景を入れ込むなどして、歴史ファンの心をくすぐる製品を展開しています。とくにコロナ禍では従来の直書きをする御朱印帳ではなく、「すでに書き置きしてあるものをビニールポケット型の御朱印ファイルに入れる」という製品の需要も増えてきました。

CCfC導入前の課題

企画デジタルコンテンツ部門において、今まで取り組んでこなかった新しい領域に着手することで「売上をあげたい・事業の可能性を広げたい」と考えていました。

またメインであるアルバム事業を伸ばしたいという目的はもちろん、少子化などの時流を鑑みて新規事業を立ち上げ、そこからの売上も上げていきたい、という目的がありました。

クラウドサーカス(CCfC)をご選定いただいた理由

クラウドサーカス(CCfC)のパッケージに含まれているARは、印刷物との親和性も高く、顧客との取引においてフックツールになるのではと考えました。

また、新しく事業を展開していく上で、会社としては「コスト・負担を最小限におさえた上で売上をのばせること」が条件でした。ツールを自社のコンテンツと掛け合わせたときに、効率よく周知を行えるかも重視したポイントのひとつです。

導入後の課題

CCfCの導入時期がアルバム制作事業の繁忙期と重なってしまったため、導入したもののうまく活用できず停滞している状態が続いていました。アルバム制作部門は卒業アルバムシーズンに突入する時期で、そのほかの業務で手一杯だったため、具体的な活用策を見出せずにいたのです。

そこで社内でほかに活用方法がないかと考えていたところ、「同人誌印刷や観光関連の新規事業で使えるのではないか?」と、白羽の矢がたったのです。これをきっかけに、企画デジタルコンテンツ部でCCfCを本格的に活用することになりました。

導入後実施した施策と成果

クラウドサーカス(CCfC)のサービスは、当初はアルバム事業部での展開を狙っていました。ただ御朱印でお取引があった神社さんから「もっと神社を周知したい」とご相談いただいたのをきっかけに、そのとき進んでいた御朱印のプロジェクトで使えるのではないか、ということになりました。

そこで企画デジタルコンテンツ部門として、従来の同人誌印刷にARを取り入れた「AR同人誌」サービスと、御朱印でお取引のある神社にAR音声ガイドを活用したサービス「おとある」のARサービスを立ち上げ、企画を実施しました。

(1)AR同人誌サービス

飛び出せ推し AR同人誌

サービス内容

同人作家さん自身が描いたイラストを「AR」として任意のタイミングで表現できるサービスを企画・パッケージしました。カメラをかざせば、自分の描いた好きなキャラクター=「推し」を好きな場所に出現させられるため、ストーリー性のある写真を撮影できます。この写真をSNSなどに投稿してもらうことで広く周知できる上、公式とは一味違う楽しみ方ができ、同人誌というコンテンツと非常に相性がよいと考えました。同人誌の延長線上にこのARのサービスをプラスすることで、さらにおもしろい展開が期待できるのでは、という狙いです。

施策

1.SNS(Twitter)で「AR同人誌」サービスを告知・モニターとして同人作家にAR提供

コミック事業部のTwitter公式アカウントにて、「AR同人誌サービス」について告知しました。また同人作家さんに広告塔になっていただく目的で、モニターとして数名の方に実際にARを体験していただき、撮影した写真をSNSへ投稿していただくようお願いしました。

SNS(Twitter)で「AR同人誌」サービスを告知・モニターとして同人作家にAR提供

2.メディアサイト「ねとらぼ」への掲載依頼

ネット上のニュース速報を取り扱うメディアサイト『ねとらぼ』さんに、AR同人誌サービスのリリースにあたって「掲載していただけませんか」と、無理を承知でメールしました。すると数日後にお返事をいただき、掲載していただけることになりました。

3.毎回関連の深いハッシュタグをつけてTwitterに投稿

弊社Twitterアカウントでは、ファンや関連メディアに反応がありそうなタグを調査しオンライン同人誌即売会の「#エアブー」さんをタグづけすることで拡散してもらうなど、多角的なSNSマーケティング施策を行いました。

成果

メディアサイト「ねとらぼ」さんには、プレスニュースのような形で、AR同人誌に関する記事を掲載していただきました。結果、同記事はyahooニュース・エキサイトニュースにも掲載され、周知拡大に大きく成果を出しています。

また最初にオプション開始予告として作った、twitter用の動画のインプレッション数は90,000回にのぼり、非常に多くの方に見ていただけました。従来の同人誌印刷に付加価値を与えるサービスとして「AR同人誌」を告知したことで、自社の認知拡大にも成功したと感じています。

(2)AR音声ガイド「おとある」×イベント「みやまの蛍丸フェスティバル」

イベント「みやまの蛍丸フェスティバル」 AR音声ガイド「おとある」

新サービス内容

ARで音声ガイドが可能なサービスを「おとある」として商品化しました。「おとある」はLESSARをつかったAR音声ガイドサービスで、GPSで設定された地点に行って、パンフレットに記載のQRコードを読み込むことで、音声ガイドがきける仕組みです。

施策

福岡県みやま市にて開催された「みやまの蛍丸フェスティバル」の企画の一つとして「おとある」を活用した「蛍丸伝承歴史めぐり」のイベントを企画しました。蛍丸は刀剣のコンテンツで、刀剣にまつわる伝承をより多くの人に知ってもらい楽しんでもらえるよう、イベントには演劇・シンポジウム・特別刀剣展など、刀剣ファンの心をくすぐるさまざまな企画を盛り込みました。

1.告知用のポスター・チラシを配布

会場である神社さんからプレスの方に出していただいたほか、刀剣ファンが訪れるような施設・博物館などに、チラシやポスターを送付しました。たとえば、チラシを置いていただいた九州国立博物館では、そのときちょうど刀剣ブーム火付け役のゲーム「刀剣乱舞」とコラボしていた時期だったことで相乗効果もあり、チラシは3,000枚でも足りなかったほどです。チラシは他にも、西日本の刀剣ゆかりの美術館や博物館に配布をお願いしました。

2.@Press/Twitter/公式サイトでの告知

告知方法としては、イベント特設サイトを立ち上げるほか、Twitterで総合アカウントを作成しました。ハッシュタグ「#ほたフェス」を設定して、ファンの方たちに情報がより届きやすくなるよう工夫し、Twitterアカウントのフォロワーは1,000人にものぼりました。

3.音声ガイドブックのエリアを検証

イベントの開催前には、地点ごとの電波状況や、設定しているGPSが重ならないか、重なることで不具合が出ないかなど、現地に出向いて細かく検証しました。

4.現地とネットの両方でナビゲーション

当日は現地で参加者が迷わず進めるよう、往路は赤、復路用に色分けした立て札を設置しました。さらにGoogleMAPにも順路を登録しておくことで、参加者を正確にナビゲートできるよう工夫しました。

5.音声ガイドブック(10月1日〜11月30日)

「おとある」はLESSARを使ったサービスですが、事前テストで「デバイスによっては音声が聞けない」ケースもあったため、CCfC担当者の方のアドバイスもあり、LESSARだけでなくCOCOARでも対応できるよう準備しました。結果COCOARからも46名ほど利用いただき、実際に「AR音声ガイドが聞けない」といったトラブルも最小限に防ぐことができました。

6.期間限定特別音声ガイド(スペシャルトラック)

11月12日・13日に開催した「みやまの蛍丸フェスティバル」では、開催日にイベント会場限定のボーナストラックを準備し、配信しました。有料パンフレットを購入していただき、そのときその場所でなければ聞けない音声ガイドを設定することで、スペシャル感を演出し確実に集客できるよう工夫しています。

成果

イベントにはゲストとして刀剣愛好家のふなっしーも参加し、2日間にわたって多くの刀剣ファンの方が訪れました。たくさんの方に来場していただき、LESSARでの表示回数は、2日間で1,300回を超えました。また自社の印刷事業にとってもwin-winとなるよう、このイベントで扱う有料パンフレットの印刷を自社で行ったのもポイントです。

LESSARでの表示回数は2日間で1,300回を超え(1) LESSARでの表示回数は2日間で1,300回を超え(2)

ARを切り口とすることで、今まで手掛けたことのない大規模なイベント企画を受注できました。たくさんの方にお越しいただいたことで、「より神社を知って、親しみをもっていただきたい」という目的のとおり、神社さんの認知拡大にもつながったと感じます。会社の成果としては、音声ガイド、パンフレット1千部、御朱印帳の売上につながりました。今までに会社で取り組んだことのなかったイベント領域の展開も、成功につなげられたことで手応えを感じられましたし、新しいお客様とのつながりも広がりました。

社内で起こった変化や効果など

従来の同人誌印刷にとっても付加価値となる「AR同人誌サービス」を告知したことで、大手ネットニュースにも取り上げられました。ARがきっかけで自社のさらなる認知拡大につながったのも、デジタルマーケティングにおける大きな一歩だと感じています。

クラウドサーカス(CCfC)を利用することで、客観的な目線でアドバイスをいただけるようになり、企画が独りよがりでないかを随時確認できるようになりました。たとえば社内のリソースを抑えるためにクラウドファンディングを活用するというアイデアで、神社の周知をさらに広められるようなイベント企画・舞台の企画が採用に至りました。専門知識をもつ方の視点でデメリットなどを指摘していただくことで、今回のイベントでもトラブルを未然に防げたと感じており、感謝しています。

今後の展望

今回のイベントで、別の地域の観光協会の方からも「AR音声ガイド」についてのお問合せをいただいたこともあり、今後はこういった企画を考えている方々に積極的にアプローチしていけたらいいなと考えています。御城印をもっと発展させて、お城などの歴史的な観光地の回遊をもっと盛り上げていきたいとも考えています。

ただ今回のイベントでも、何人か「どうしても聞けなかった」というお客様がいたため、さまざまなデバイス・通信環境の方がいる中で、どのようにアフターフォローをしていくかは今後の課題のひとつだと感じています。

また今後はアルバム制作部門でも、クラウドサーカス(CCfC)を活用した展開で、写真館・学校向けの価値提供を行っていけたら理想的です。

お客様の声

弊社でこの音声ガイドサービス「おとある」を始める際、CCfC担当者の方からは「前例のない使い方」と言われました。地点ごとのGPSの設定が重なり合ったらどうなるかといった検証も、現地まで出向いて電波状況を確認したことでサービス展開に至っています。CCfC担当者の方からのアドバイスは心強く、大変助けられました。

クラウドサーカス(CCfC)は、会社や事業ごとの捉え方が変われば使い方も変わり、さまざまな見せ方ができるツールだと思います。