ファンマーケティングとは?SNSを活用した戦略や手法、成功事例もご紹介!

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ファンマーケティングとは、製品やサービス、ブランドに対して愛着を持つファンを増やし、中長期的な売上拡大を目指すマーケティング手法です。

ファンマーケティングによって、顧客は商品やサービスを継続的に利用するようになり、さらに愛着を持ったファンがSNSなどで好意的な口コミを自然に発信することも期待できます。
このような第三者による評価や体験談は、企業からの一方的な情報発信よりも心理的な信頼性が高く、商品やサービスに興味を持つきっかけや、購買判断にも大きな影響を与えるといわれています。

本記事では、ファンマーケティングの基礎知識をはじめ、メリットや効果的な施策、実際の成功事例などを詳しく解説します。
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目次

ファンマーケティングとは


ファンマーケティングとは、製品やサービス、ブランドに対し、愛着を持ったファンを増やすことで、中長期的な売上拡大を目指すマーケティング手法です。

従来の主なマーケティング手法では、テレビや新聞、雑誌などのマスメディアにおける広告を軸としたアプローチが主流でした。しかし、インターネットやスマートフォンが普及した現在では、SNSやWEBサイトでの拡散による認知度の向上や顧客の獲得が可能になっています。

こうした環境の変化を背景に、継続的に自社製品やサービスのファンを育成できるファンマーケティングが注目を集めるようになりました。

ファンマーケティングにおいて効果的な施策としては、SNSやライブ配信の活用、クラウドファンディングの実施、ファンが集まるコミュニティの構築などがあります。企業とユーザーの一方的な関係にとどまらず、ユーザー同士が交流し、関係性を深められる場を創出することが重要視されています。

さらに近年では、企業が発信する情報だけでなく、ユーザー自身が作成・発信するコンテンツである「UGC(User Generated Content)」の重要性が高まっています。次章では、このUGCについて詳しく解説していきます。
 

UGCとは?

「UGC(User Generated Contents)」とは、一般ユーザーの手によって作成されたコンテンツです。「ユーザー生成コンテンツ」とも呼ばれます。

具体的には個人のブログやSNS、動画投稿サイト、電子掲示板、などの他にも、Amazonなどの商品レビューやアットコスメの口コミなどが該当します。

UGCを活用することで、注目(アテンション)を集めやすくなり、SNS上での影響力向上が期待できます。さらに、企業ではなく個人による発信であるため、共感を得やすく、信頼されやすい点も大きなメリットです。

UGCが重視されるようになった背景には、スマートフォンの普及やSNSの浸透、コロナ禍などの影響があります。これらによって私たちが日常的に接する情報量は急激に増え、ユーザーは常に広告にさらされる状況になりました。その結果、広告に対する嫌悪感を抱く人が増える一方で、口コミのような第三者による「リアルな評価」を重視する傾向が強まっています。こうした流れの中で、UGCは「信頼できる情報」としての価値を持つようになりました。

現在、UGCとあわせて注目されているのが、「ULSSAS」と呼ばれるSNS時代ならではの新しいユーザー行動プロセスです。ファンマーケティングにおいても重要な考え方であるため、ここではその概要を紹介します。

ULSSASとは

ULSSASとは、SNS時代における現代のユーザー行動を示すプロセスを、頭文字で表した言葉です。以下の要素で構成されています。

頭文字にはそれぞれ以下の意味があります。
 
・U:UGC(ユーザー投稿コンテンツ)

・L:Like(いいね)

・S:Search1(SNS検索)

・S:Search2(Google/Yahoo!検索)

・A:Action(購買行動)

・S:Spread(拡散)


従来のファネル型モデルのように一直線で進むのではなく、ULSSASでは「UGC→Spread」へと進んだ後、再び「UGC」に戻るなど、行動が循環する点が特徴です。ユーザーは情報を受け取るだけでなく、自ら発信者となり、次の行動を生み出していきます。

情報が共有される理由:「Psychology of Sharing」

購買後の情報がどのように拡散されるかについて、The New York Timesの調査「Psychology of Sharing」では、情報を共有する人のタイプとして次の6つが挙げられています。

6つの共有者タイプ

  1. 利他主義(Altruists):役に立つ情報を、広い人間関係の中で共有する
  2. キャリアリスト(Careerists):ビジネス上の価値を意識して情報を共有する
  3. 流行に敏感(Hipsters):最先端の情報に関心が高く、自身の個性や価値観を表現したい
  4. ブーメラン(Boomerangs):反応や共感を得るために情報を共有する。SNSでの活動が活発
  5. コネクター(Connectors):人とのつながりを広げたり、関係を維持する目的で共有する
  6. 選択的共有者(Selectives):相手に合わせて、有益な情報を個別に共有する

これら6つのタイプの人にとって「共有したい」と思えるコンテンツをいかに生み出せるかが重要なポイントとなります。そして、競争が激しいアテンション獲得の時代において、UGCが非常に重要な役割を果たしていることが分かります。

参考: Psycology of Sharing

インフルエンサーマーケティングとの違い

ファンマーケティングと混同されやすい言葉に「インフルエンサーマーケティング」があります。両者は似て非なるものですので、それぞれの違いを正しく理解しておくことが重要です。

項目 ファンマーケティング インフルエンサーマーケティング
主な担い手 既存顧客・ファン インフルエンサー
目的 中長期的な関係構築・LTV向上 短期的な認知拡大・話題化
信頼性 高い(実体験に基づくUGC) 中程度(広告色に左右される)
UGC創出 生まれやすい 生まれにくい
効果の持続性 高い(継続的に蓄積) 低〜中(施策終了後に減衰)
コスト感 低〜中 中〜高

「インフルエンサーマーケティング」は影響力のある人物(インフルエンサー)に商品やサービスを紹介してもらうことで、短期間での認知拡大や売上向上を狙うマーケティング手法です。
一方で「ファンマーケティング」は、
実際の消費者に商品やブランドへの愛着を持ってもらい、そのファンによる自発的な口コミや推奨を通じて、継続的な認知・売上の拡大を目指す手法です。

両者の大きな違いは、「インフルエンサーによってファンを増やすか」「既存のファンによって新たなファンを増やすか」という点にあります。いずれもUGCの創出は重要ですが、実体験をもとにした自然な発信が生まれやすいという点で、ファンマーケティングの方がUGCを生み出しやすい傾向があります。

ファンマーケティングが注目される背景

ファンマーケティングが注目を集める背景には、社会構造や消費者行動の大きな変化があります。ここでは、その主な理由を解説します。

消費人口の減少と新規顧客獲得の難化

日本の総人口は、2025年12月時点で約1億2,316万人と、この約20年で400万人以上減少しています。今後も少子高齢化の進行により、人口減少は避けられず、購買人口の縮小によって市場全体がさらに縮小していくと見込まれています。

このような環境では、新規顧客の獲得競争はますます激化します。限られた市場で顧客を奪い合う「刈り取り型」のマーケティングではなく、既存顧客と長期的な関係を築くマーケティングの重要性が高まっており、その手法の一つとしてファンマーケティングが注目されています。

参考:総務省統計局「人口推計」

広告疲れと信頼性の低下

経済産業省の調査や各種レポートから、インターネット広告に対して「不快」「煩わしい」と感じる消費者が一定数存在することが明らかになっています。また、日本広告審査機構(JARO)には広告に関する苦情が毎年数千件規模で寄せられており、ネット広告に対する違和感や不信感が依然として根強い状況にあることがうかがえます。

このような状況下では、従来の一方的なPRや広告手法のみでユーザーの共感や信頼を獲得することは難しくなっています。そのため、広告への依存度を下げ、顧客との関係性を通じて価値を伝えていく手法として、ファンマーケティングの重要性が高まっています

参考:日本広告審査機構「2024年度上半期審査状況」

SNSの普及と「共感」の重視

SNSの普及により、生活者から生活者へと情報が伝わる量とスピードは飛躍的に高まりました。情報があふれる現代において、生活者は企業発信の広告よりも、第三者によるリアルな体験談や口コミに強い信頼を寄せる傾向があります

そのため、ファンによる自然な推奨を生み出すコミュニケーションや、そうした声を企業が広報・PR活動を通じて社会に届けていく取り組みが、ますます重要になっています。

LTV(顧客生涯価値)重視への転換

新規顧客の獲得コスト(CAC)は年々上昇しており、特に広告費の高騰が顕著です。一方で、リピーターや紹介によって獲得した顧客は比較的獲得コストが低く、LTVが高い傾向があります

とくにSaaSやサブスクリプション型ビジネスでは、継続利用そのものが収益に直結するため、顧客との関係性を深めるマーケティングが欠かせません。ファンマーケティングは、顧客との接点を「一時的な取引」から「継続的な関係性」へと変え、事業の安定化とLTV最大化を実現する手法といえるでしょう。

ファンマーケティング活用の4つのメリット

ファンマーケティングを活用することでどのようなメリットがあるのでしょうか?主な4つのメリットについて解説します。

ファンの「口コミ」が宣伝と信頼につながる

ファンマーケティングを通じて生まれる口コミは、自社商品・サービスの認知拡大だけでなく、信頼性の向上にもつながります

実際、米PowerReviews社の調査によると、オンラインで購入をする顧客の97%が「レビューを読んでから購入する」と答えています。これは、「失敗したくない」「損をしたくない」という気持ちから、自分で情報を集めて判断しようとするためです。
その中でも、実際に商品やサービスを使った人の声、特に好意を持っているファンの口コミは、企業の広告よりも信頼されやすい傾向があります。こうした口コミが積み重なることで、ファンが新たなファンを呼び、自然な形で支持が広がっていきます。その流れをつくるために、ファンマーケティングは非常に重要な取り組みといえるでしょう。

参考:Survey: The Ever-Growing Power of Reviews - PowerReviews

安定した売上基盤を築くことができる

安定した売上基盤を築くことができるという点も、ファンマーケティングにおける大きなメリットです

マーケティングの分野では「パレートの法則(80:20の法則)」がよく知られています。これは、「全体の売上の多くは、一部の顧客によって支えられている」という考え方です。

この法則に基づくと、売上に大きく貢献している顧客、つまり自社のファンに注力することで、効率的に売上を伸ばすことができます。さらに、ファンとの関係を深めていくことで、継続的な購入が期待でき、結果として安定した売上基盤の構築につながります。

良質なフィードバックを得られる

ファンマーケティングでは、商品やサービスを実際に利用しているファンから、率直で具体的な意見を得ることができます。ファンは企業側では気づきにくい改善点や使い勝手の課題に気づいていることが多く、こうした声は商品改善に直接役立ちます

フィードバックを反映することで、ファンからの信頼が高まり、継続的な利用や他者への推奨にもつながります。

ブランドロイヤルティの向上と価格競争からの脱却

ファンマーケティングが機能すると、ブランドへの愛着や信頼が高まり、ブランドロイヤルティの向上が期待できます。ロイヤルティの高い顧客は、価格だけで商品を選ばないため、他社の類似商品へ移りにくい傾向があります。

その結果、過度な値下げ競争を避けやすくなり、売上や収益の安定につながります

ファンマーケティングに効果的な3つの施策

近年様々な業界で導入が進んでいるファンマーケティングですが、実際にどのように活用されているのでしょうか? 代表的な取り組みとして挙げられるのが、「SNS」「AR」「ファンコミュニティ」を活用した施策です。ここでは、それぞれの施策について解説します。

SNSでの情報発信

ファンマーケティングにおけるSNS活用は、単なる情報告知ではなく、ファンとの関係性を深めるための重要な接点となります。企業からの一方的な発信ではなく、舞台裏や開発ストーリー、日常的な気づきなど、共感を生む情報を継続的に発信することで、ブランドへの親近感が高まります。

ファンマーケティングで活用される代表的なSNSには、以下のようなものがあります。

さらに、コメントへの返信やユーザー投稿の紹介など、双方向のコミュニケーションを意識することで、「ブランドに参加している」という感覚が生まれます。こうした積み重ねが、自然なUGCの創出やファンの定着につながります。

ARの活用

ARは、商品やブランド体験をより直感的かつ印象的に伝えられる施策として注目されています。AR(拡張現実)とは、現実の風景にデジタル情報を重ねて表示し、体験を拡張する技術です。

スマートフォンを通じて商品を疑似体験できたり、SNS上でリッチなエフェクトを楽しめたりと、ユーザーに新しい体験を提供できます。そのため、「試してみたい」「誰かに共有したい」といった感情を喚起しやすい点が特徴です。

また、特別な場所や高額な設備を必要とせず、オンライン・オフラインを問わず展開できる点も大きな強みです。印象に残る体験を提供することで、ファンによる自発的な発信を促進できます。

ファンコミュニティの構築

ファンコミュニティは、ブランドを軸に人と人がつながる場として機能する施策です。企業がすべてを管理するのではなく、安心して交流できる環境を整え、ファン同士の会話を後押しする姿勢が重要です

具体的には、ファン限定の交流イベントや、商品作りが体験できるプログラムなど、さまざまな方法があります。

限定情報の共有や意見交換の場を設けることで、ファンは「ブランドの一員である」という帰属意識を持ちやすくなります。コミュニティ内で生まれた声やアイデアは、商品改善や新たな施策に活かせる貴重な資産として活かすことが可能です。

ファンマーケティングの成功事例

ファンマーケティングに効果的な施策について紹介してきましたが、実際に企業はどのように取り入れているのでしょうか。ここでは、「SNS」「AR」「ファンコミュニティ」の3つの切り口から、企業が実践したファンマーケティングの成功事例を紹介します。

SNSでの情報発信

SNSでの情報発信には、X(旧Twitter)やTikTok、YouTube、Instagramなどさまざまなプラットフォームがあります。ここでは、それぞれの特性を活かして成果を上げている企業の成功事例を紹介します。

X(旧Twitter):株式会社サンギ

株式会社サンギは、美白歯みがき「アパガード」シリーズの認知拡大とファン獲得を目的に、X(旧Twitter)を活用した継続的なキャンペーン施策を実施しました。フォロー&リツイートといった参加しやすい企画に加え、ハズレなしキャンペーンや定期的な情報発信を行うことで、ファンとの接点を継続的に創出しています

その結果、フォロワー数は7.5万人(2026年1月時点)を超え、エンゲージメントやSNS経由の購入者も増加しました。一過性に終わらせず、目的に沿った施策を継続した点が、ブランドファンの育成と認知向上につながった成功事例といえます。

具体的な取り組みは以下の通りです。

フォロー&リツイートキャンペーン

定期的なキャンペーン実施

情報発信の充実

参考:「キャンつく」の利用でフォロワー数が増加 さらにブランドのファンを増やすべく次のフェーズへ|キャンつく
美白歯みがき アパガード【(株)サンギ公式】(@apagard_pr)さん / X

TikTok:株式会社サンリオ

株式会社サンリオは、TikTokの特性を活かし、若年層を中心としたファン獲得に成功しています。フォロワー数に左右されにくいTikTokのアルゴリズムを踏まえ、キャラクターごとに複数の公式アカウントを運用している点が大きな特徴です。各キャラクターの世界観や性格に合わせた投稿を行うことで、ファン層を細分化し、効果的にアプローチしています。

なかでも「商品企画部」アカウントでは、社員の登場や商品開発の裏側を紹介する発信が共感を呼び、企業への親近感を醸成しました。その結果、フォロワー数やエンゲージメントは着実に伸びています。

さらに、コメントへの丁寧な返信やユーザー参加型企画を通じてファンとの交流を深め、UGCの創出や商品購入へとつなげている点も注目すべきポイントです。

成功のポイント

参考:サンリオ商品企画部【公式】TikTok

YouTube:北欧、暮らしの道具店(株式会社クラシコム)

株式会社クラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」は、YouTubeを中核としたコンテンツマーケティングで、顧客の暮らしに寄り添うコンテンツを発信しています。YouTubeを単なる販促チャネルではなく、「暮らしに寄り添うブランド体験の場」と位置づけた運用を行っているのが特徴です。

読み物や動画を楽しむために「また訪れたくなる理由」をユーザーに提供することで、自然な形でWebサイトへの継続的な訪問が生まれ、長期的な関係構築を実現しています

YouTubeチャンネルは2011年に開設され、2018年以降本格運用を開始。広告や販促費を抑えながらも、高品質な自社制作動画を継続的に配信し、2025年には登録者数100万人を突破しました。

主な取り組み・施策

参考:北欧、暮らしの道具店 - YouTube

Instagram:マミーポコパンツ(MamyPoko)

ユニ・チャーム株式会社は、ベビー用紙おむつブランド「マミーポコパンツ」において、Instagramを中心としたファンマーケティングを展開しています。商品訴求に偏らず、育児中のパパ・ママに寄り添うコミュニティ型の運用を行うことで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を軸にしたファン育成に成功しています

公式Instagramアカウント(@mamypokojp_official)は、2026年1月時点でフォロワー約10.1万人を獲得。育児層との継続的な関係構築を実現しています。

同社の取り組みのポイントを以下の表にまとめました。

取り組みポイント 主な施策内容 期待される効果
UGC中心のアカウント設計 公式ハッシュタグの活用/ユーザー投稿のリポスト/写真投稿キャンペーンの定期実施 実利用シーンの自然な拡散/広告感のない高い信頼性/口コミ創出
育児に寄り添うコンテンツ 育児あるある漫画・イラスト/おむつ替えのコツなど実用情報/モニター募集によるレビュー獲得 共感・保存されやすい投稿/フォロワーとの関係性強化/アカウント価値の向上
参加しやすいキャンペーン設計 フォロー&コメント企画/写真投稿型キャンペーン/実用性の高い景品設計 参加ハードルの低下/エンゲージメント維持/UGCの継続的創出
IPコラボによる話題化 人気キャラクターIPとの商品コラボ SNSでの話題性向上/投稿意欲の促進/ブランド想起の強化

「関係構築→エンゲージメント向上→コミュニティ形成」という3段階のファンマーケティング戦略を着実に実行することで、単なる顧客ではなく、ブランドに愛着を持つ「ファン」の育成に成功しています。

その結果、継続購買の促進や競合他社への流出防止、口コミによる新規顧客獲得といった、ファンマーケティングの理想的な成果を実現している好例といえるでしょう。

 
 
 
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参考:マミーポコパンツ(MamyPoko)Instagram

ARの活用

ファンマーケティングにおいてAR(拡張現実)の活用も有効な施策です。近年注目されているので、詳細の事例をご紹介します。

横浜・八景島シーパラダイス

横浜・八景島シーパラダイスは、2024年10月に開催した「IDOLY PRIDE」とのコラボイベントで、ウェブARを活用したデジタルスタンプラリーを実施しました。従来の紙スタンプラリーでは制作・運営コストが課題となっていたほか、既存のARアプリは暗所での読み取りづらさが問題でした。

そこで、アプリ不要でQRコードから利用できるウェブAR・ブラウザAR®「LESSAR」を採用。島内10カ所のスポットにQRコードを設置し、スマートフォンで読み取ることでデジタルスタンプを獲得できる仕組みを構築しました。

スタンプ取得時にはアイドル同士の掛け合いが楽しめる演出や、ポイント機能を使った「隠し要素」を盛り込み、ファンの回遊とSNSでの話題化を促進。さらに、スタンプをすべて集めた参加者にはノベルティ配布やゲーム内特典と連動させ、リアルイベントからゲームへの送客も実現しました。

その結果、総スキャン数は約3万回、参加ユーザーは5,000人超に達し、施設内の回遊促進と売上向上の両立に成功した事例となりました。

参考・画像引用元:総スキャン3万回超!横浜・八景島シーパラダイス「IDOLY PRIDE」コラボARスタンプラリーで、ファンが周遊する仕掛けとは?|お役立ち情報|ウェブAR・ブラウザARなら「LESSAR(レッサー)」

タリーズコーヒージャパン株式会社

米国シアトル発祥のスペシャルティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」を日本で展開するタリーズコーヒージャパン株式会社は、2022年にARを活用したトムとジェリーとのコラボキャンペーン「トムとジェリー 桜舞うスペシャルコーヒータイム」を全国のタリーズ店舗で開催しました。

企画内容は、対象商品購入時に印字されるレシートのQRコードをスマートフォンで読み込むと、花見や桜の中でかけっこをするトムとジェリーのフォトフレームがARでランダムに出現するというものです。

ARを活用することでファン層の興味喚起を図るとともに、体験したARコンテンツをSNSへ投稿してもらうことで、プロモーション効果や認知度の向上を狙いました。アプリ不要で直感的に利用できる点から、WebAR・ブラウザAR®「LESSAR」を採用し、より多くのユーザーが気軽に楽しめる設計としています。

「LESSAR」の管理画面ではログ情報などを確認でき、ユーザーの反応を可視化できる点も特徴です。本企画では、1人あたり平均2〜3回ARコンテンツが体験されていることが判明しました。さらに、期間中に5万人以上のユーザーがAR企画を体験し、アクセス数は13万PVに達するなど、高い参加率と拡散効果を示す結果となりました。

参照元:「タリーズコーヒーのトムとジェリーコラボキャンペーンにてARを使った店舗体験企画を実施。5万人以上がARを体験し、ARのアクセス数は13万PV!」

ファンコミュニティの構築

ファンマーケティングにおいては、企業とファン、あるいはファン同士が継続的に交流できる「ファンコミュニティ」を形成することが重要です。

ここでは、コミュニティを通じて接点を増やすことで、ブランドへの理解や愛着が深まり、長期的な関係構築につながった成功事例を紹介します。

カゴメ株式会社でのファンコミュニティ事例

カゴメは、ファンコミュニティサイト「&KAGOME」を運営し、会員数約6万人規模まで成長させています。本サイトは、売上への貢献度が高いファン層との関係強化を目的に開設され、商品レビューやレシピ投稿、掲示板などを通じて、会員同士や社員との交流を促進しています。

「&KAGOME」は2015年4月にスタートしました。開設の背景には、2014年に実施した顧客構造分析により、売上金額が高い上位2.5%の顧客が全体売上の約30%を占めていることが明らかになった点があります。こうした結果を踏まえ、ファンにより一層ブランドへの愛着を持ってもらうための取り組みとして立ち上げられました。

サイトの中心となるのは、会員が自由に投稿できる商品レビューやレシピ、カゴメからの情報発信を行う「カゴメ便り」、掲示板などの交流コンテンツです。会員登録は無料で、コメントや投稿を通じて社員や会員同士が気軽にコミュニケーションを取れるほか、新商品に関するアンケートや野菜の豆知識を紹介するコーナーなど、楽しみながら参加できる仕組みが整えられています。

さらに2025年以降は、オンライン栽培相談会やオンライン料理教室といった体験型コンテンツを導入し、ファンとのエンゲージメントを一層強化しています。これらの施策により会員同士の交流が活性化し、コミュニティとしての一体感も高まっています。

2025年11月には「秋の商品体験会」や「野菜生活ファーム」への訪問イベントなど、リアルな体験の場も提供し、オンラインとオフラインを融合させたファンマーケティングを展開している点も特徴です。カゴメは、「KAGOMEらしさ」を大切にしながら、ファンを中心に据えたコミュニティ運営を実践している好例といえるでしょう。

ポイント

参考:iLife「コミュニティサイトは一日にしてならず。『広さより深さ』の対話」
   JR東日本企画「ファンエンゲージメント施策」

【調査結果】「コアファン」向けの施策に意味はあるのか?

成功事例の中でも特にSNSは無料で始められる上に、元々の利用者数も多く幅広いファンにアプローチできることから、利用している企業は増加しています。SNSは幅広い層にアプローチできることが明らかですが、「コアファン」向けの施策については現在も調査や研究が進められていると言ってよいでしょう。

以下では「コアファン」向けの施策に関する書物や研究論文について紹介します。

ファンコミュニティはコントロールしにくい?

『ネット・コミュニティのマーケティング戦略』(池尾恭一編)に記載されたファンコミュニティに関する解説について、同文書を引用しつつ、概要を以下でご説明します。

ネット・コミュニティは、大きく次の3種類に分類できます。

  1. 特定のメーカーが自社の商品について組織化しているもの
  2. 中立的な企業がメーカー横断的に組織化しているもの
  3. 消費者が自発的に組織化しているもの

多くの企業は、自社ファンの囲い込みを目的として「①特定のメーカーが自社の商品について組織化している」コミュニティの構築を試みる傾向にあります。しかし実際には、うまく機能しなかったり、成功したとしても一部の熱狂的なファンだけが集まり、企業が本来狙うファン層の拡大にはつながらなかったりするケースが少なくありません。

さらに、企業がファン同士のコミュニケーションに介入し、自社にとって都合のよい方向へ誘導しようとすると、強い拒絶反応を招き、かえって逆効果になる場合が多いことも指摘されています。

これらの点から、ネット・コミュニティは企業にとって非常にコントロールしにくい存在であり、短期的・表層的な活用は難しいといえます。そのため、ファンコミュニティを活用する際には、中長期的な視点で戦略を設計し、慎重に運営していくことが重要です

参照元:『ネット・コミュニティのマーケティング戦略』池尾 恭一 編

コアファン向けのみの施策では事業成長につながりにくい?

近年の実証研究から、コアファン(ヘビーユーザー)向け施策だけでは、持続的な事業成長につながりにくいことが明らかになっています。従来は「売上の80%は上位20%の顧客が生み出す」というパレートの法則が広く信じられてきましたが、最新研究では、短期的な売上貢献は50〜60%程度にとどまることが示されています。

さらに、ヘビーユーザーの約半数は1年で入れ替わる(Romaniuk & Wight, 2015)ため、現在のコアファンを前提とした戦略は不安定だと言えます。加えて、データ上のヘビーユーザーの多くは、確率的に購買回数が一時的に多かったライトユーザーであり、翌年には購買頻度が元に戻る「平均への回帰」が起こります。

こうした背景から、売上拡大にはヘビーユーザーの深掘りよりも、ライトユーザーや未顧客の母数を広げ、購入機会を増やすことが重要です。

そこでポイントとなるのが、ブランドとの接触回数を増やし、第一想起を獲得することです。特にUGC(ユーザー生成コンテンツ)は、信頼性が高く、自然な形で共感と拡散を生む手法として注目されています。これからのファンマーケティングでは、UGCを活用し、幅広い顧客層へ継続的に接点をつくる中長期的な戦略が、事業成長の要となるでしょう。

参考:『未顧客理解:なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?』芹澤連著(日経BP、2022年)
参考:Taggbox「ユーザー生成コンテンツ (UGC) の統計と事実 - 2025」(2025年12月5日)

【2026年度版】ファンマーケティングの最新トレンド

上記の書物・論文や米国でのいくつかのファンマーケティング事例から、ユーザーが自然に生み出したコンテンツ(UGC)の創出がキーとなることがわかりました。

以下ではUGCの創出が期待できる、ファンマーケティングの最新トレンドについて紹介します。

コミュニティ・ファーストのアプローチ

近年のSNSやマーケティングにおいて、「コミュニティ・ファースト」が重要なキーワードとなっています。コミュニティ・ファーストとは、フォロワー数の多さよりも、ファンとの信頼関係を最優先する考え方です。SNSにおいても、フォロワー数より、熱量の高いファンベースを持つアカウントが影響力を持つ傾向が強まっています。会員限定のサブスクリプション型コンテンツが、今後さらに一般化すると予測されてるのも、その流れの一例です。

さらに、Z世代を中心に、「信頼できる一次情報のみがファンを生む」という価値観が広まりつつあります。企業がコミュニティを適度に見守りながら、ファン同士の交流を促進することで、より強いロイヤルティを育成できます。

SNSのハッシュタグキャンペーン

UGCは「ユーザーが自発的に作成するコンテンツ」であるため、企業側にはユーザーが投稿しやすく、話題にしやすい環境づくりが求められます。その有効な手法のひとつが、拡散力の高いSNSを活用したハッシュタグキャンペーンです

企業は商品・サービス専用のハッシュタグを用意し、Webサイトや公式SNSで提示します。投稿にハッシュタグを付けることで、同じ関心を持つユーザー同士がつながりやすくなり、交流の活性化とUGCの創出が期待できます。

あわせて、思わずシェアしたくなる体験やコンテンツを提供することも重要です。投稿しやすいハッシュタグと魅力的な体験を組み合わせることで、プロモーション効果とUGC創出の双方を高めることができます。イベント連動型のSNSキャンペーンにおいても、ハッシュタグは有効です。

AR×SNSマーケティング

UGCを増やす手法として、SNS上でARを活用したキャンペーンを行う「AR×SNSマーケティング」を取り入れる企業も多いです。ARを用いたリッチなコンテンツは、「おもしろい」「新しい」といったポジティブな感情を喚起しやすく、オンライン・オフラインを問わず手軽に体験できる点が特長です。

さらに、ARは商品やサービスに付加価値を与えたり、イベントの体験価値を高めたりできるため、UGCの創出にもつながります。成果を出すためには、ユーザーのニーズに合った企画設計や、体験のハードルを下げる工夫が重要です。

AR市場は今後さらなる拡大が見込まれており、注目度の高い施策のひとつといえるでしょう。

NPSで成果計測

NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、顧客ロイヤルティを数値で把握できる指標です。「この商品やサービスを家族や友人に勧めたいと思いますか?」という質問に対し、0〜10点で評価してもらい、回答は以下のように分類されます。

NPSの値は「推奨者の割合 − 批判者の割合」で算出されます。たとえば、「推奨者」(60%)ー「批判者」(20%)=NPS(40%)が一例です。

推奨者が増える、あるいは批判者が減るほどNPSは高まり、顧客ロイヤルティが高い状態であるといえます。これまでファンマーケティングは成果を測定しにくいという課題がありましたが、NPSを活用することで評価軸が明確になり、この数値をもとに改善を重ねることで、UGCの創出や企業価値の向上にもつながります。

参加型コンテンツの制作

商品開発やキャンペーンの企画段階でアイデアを募集したり、ファンインタビューを公式コンテンツとして紹介したりすることで、ファンに「自分もこのブランドの一員である」という意識が生まれます。

企業は、ファンの声を取り入れながら一緒にブランドを育てていく「共創(Co-creation)」の姿勢を示し、コミュニティを過度に管理せず、見守るスタンスをとることも成功のポイントです。

【まとめ】ファンマーケティングは中長期的な視点が重要

ファンマーケティングは近年様々な企業が取り組み始めている最も見逃せないマーケティング手法のひとつです。多くの事例に共通しているのは、「中長期でファンを増やして売上につなげていく」ということを前提とした設計と施策が重要であるという点です。

その中でも、UGCの創出はファンとのコミュニケーション機会を増やすだけでなく、新規ユーザーに認知してもらう施策としても非常に有効です。

最新トレンドでも紹介したARは「体験性の向上」や「驚きやわくわくなどポジティブな感情の創出」が得意な施策であり、ファンマーケティングにおいてとても相性が良いとされています。拡散力が高くシェアされやすいSNSと組み合わせることで、さらなるUGCの創出も期待できます。

弊社では、中長期的にファンを増やすことを目的としたキャンペーン企画や、ファンジャーニー設計を支援するサービスも提供しています。
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